HIIT(ヒート)とは
HIITとは
HIIT(ヒート)とは、高強度(high-intensity)インターバルトレーニング(Interval training)のことで、頭文字をとってHIIT(ヒート)と呼ばれています。
高い強度の運動と、短い休憩を交互に行うトレーニング方法で、世界的にも有名なのが、日本人の田畑泉氏が研究開発した「タバタ式トレーニング」が代表的な例です。
HIITの注意点
HIITは痩せるためのトレーニングではない。あくまでも身体能力を高めるトレーニングであり、痩せやすい体を作ることはできるが、HIITのみで痩せるわけではない。
また、激しい運動を伴うため、関節痛や心疾患などの持病をお持ちの方は医師と相談する必要がある。
HIITの効果
有酸素性エネルギー(最大酸素摂取量)の向上
有酸素性エネルギーとは
体内で、酸素と糖質(または脂質)を反応させて作られるエネルギーのこと。
持久力向上に必要なエネルギーで、最大酸素摂取量で測ることができる。
HIITの効果
最大酸素摂取量の170%強度で20秒の後10秒休憩を6〜7セット行った。すると、最大酸素摂取量は10〜12%向上し、エアロビなどの強度70%の運動をおこなったグループ同様の効果が得られた。
すなわち、3〜4分程度のHIITで、長時間行う運動と同程度の持久力向上効果が得られるということになる。
無酸素性エネルギー(最大酸素借)の向上
無酸素性エネルギーとは
体内で、酸素を使用せずに再合成されたエネルギーのこと。
中短期的な運動能力向上に必要な指標で、有酸素性エネルギーがフル稼働した後に発動する。「最大酸素借」として指標化させる。
HIITの効果
HIITを6週間行った実験では、最大酸素借の数値がやる前に比べて35%も向上した。ちなみに、強度70%で行われた運動では、最大酸素借の向上は見られなかった。
PGC-1αの増加
PGC-1αとは
転写コアアクチベーターと呼ばれ、筋肉を作ったり、エネルギーを生成・消費するのに重要な分子。ミトコンドリア生合成の増強にも関与している。
HIITの効果
1セット4分間のHIITを週3回行った実験では、このPGC-1αの体内濃度が大幅に増加した。更にこのPGC-1αは24時間もの間、高い濃度を保っていた。すなわち、HIITを週3回行うことで、エネルギーの生成・消費やミトコンドリア生合成に必要なPGC-1αを高い濃度で維持することができる。
GLUT4の増加
GLUT4とは
細胞内にあるトランスポーター(運搬係)で、主に血液中の糖質を細胞内に取り込む働きをする。GLUT 4が多ければ多いほど、細胞内に取り込まれる糖質の量は増える。
HIITの効果
HIITを続けることで、GLUT 4が増加して骨格筋への糖の取り込みが促進される。すると、効率的にエネルギーを消費できると共に、インスリンの働きが抑えられる為、インスリン感受性が高まり、2型糖尿病も抑えられる。
血中SPARC濃度を増加
SPARCとは
前がん物質であるACFのアポトーシス(細胞死)を促す。
HIITの効果
HIITにより、骨格筋でのSPARCが生成され、血液に入ったSPARCが大腸に運ばれてAFCを排除し、大腸がんを予防するという研究データもある。
HIIT実践
やり方
頻度
1週間に2〜3回
内容
20秒活動10秒休憩を8セット(4分)のみ
HIITを行う前に10分間のウォーミングアップを行う。
HIITの6セット目までには、最大心拍数の90%まで持っていく。
HIIT終了後には10分間のクールダウンを入れる。
習慣化の実例
平日の習慣
会社からの帰宅時にHIITを取り入れることで習慣化できる。
やり方は、帰宅時に自転車を使用し、HIIT化するだけでいい。比較的信号待ちの少ないルートを選び、スマホのアプリでHIIT時間を計測する。後は20秒間全力で漕ぐのと10秒間の休憩を交互に行うだけ。心拍数の推移も確認できれば、最大心拍数の90%まで達しているかが分かり、十分な強度を得られているか把握できる。
休日の習慣
休日は、バーピー(4分)を5回行う。1回ずつの間の休憩は2分程度とる。
最初の2回は腕立てなしでウォーミングアップ代わり行い、心拍数も160程度まで上げておく。3回目をタバタ式で行い、最大心拍数の90%(心拍数165〜175)まで上げれる強度のバーピーを行う。1セットで腕立てを6回取り入れるぐらいの速さで行うと、 6セット目では心拍数175〜180まで上がっている。4回目と5回目はクールダウンとして、腕立て回数4回程度の速さでバーピーを行うが、心拍数は160〜170で維持される。
参考文献
「 4分で身体は変えられる」の科学
著者:田畑 泉
発行日:2020年7月1日 初版
発行所:株式会社 扶桑社
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