つづける君
こはるさん。今回はイオンチャネルですが、ご存じですか?
こはる🔰薬剤師
イオンが出入りするところですよね。
つづける君
そうです。チャネルは「通路」「経路」「ルート」を意味しますので、イオンの通り道ですね。
こはる🔰薬剤師
ちなみにイオンって、Ca2+とかですよね。
つづける君
正式には、原子または原子団が、正または負の電気を帯びた状態のことを言います。では、そんなイオンがどのように体に作用しているのか見ていきましょう。
イオンチャネル
イオンチャネルとは
- イオンチャネルとは、膜輸送タンパク質の一つ
- イオンチャネルを通るには、特定の刺激で開口させる必要がある
- イオンの出入りは、濃度勾配に従って移動する(濃度の高い方から低い方へ)
- イオンの移動には、ATPなどのエネルギーを必要としない(受動輸送)
つづける君
刺激で開けて、あとは外と中の濃さで調整するってイメージです。
こはる🔰薬剤師
開けてしまえば、あとは自然と調整されるんですね。
イオンチャネルの開閉制御
開閉制御の4パターン
- リガンド
- 膜電位変化
- 細胞内物質
- 物理的刺激
リガンド
イオンチャネルの細胞外側に、リガンド結合部位がある。リガンドが結合することで、イオンチャネルは開閉する。このようなイオンチャネルを「イオンチャネル内蔵型受容体」と呼ぶ。
膜電位変化
膜電位の変化に応じて、イオンチャネルが開閉する。このようなイオンチャネルを膜電位依存チャネルと呼ぶ。
細胞内物質
イオンチャネル細胞内側ある特定に部位に、細胞内物質が結合することで、イオンチャネルが開閉する。
物理的刺激
温度変化や浸透圧変化などによりイオンチャネルが開閉する。
膜電位について
膜電位とは、細胞内側と外側で、イオンの濃度勾配により生じた電位差のこと。
膜電位の変化として、
- 静止膜電位で安定状態
- 刺激により膜電位が上昇する(脱分極)
- 一定の膜電位(閾膜電位)以上になると、活性状態になる(活動電位)
- 上昇した膜電位が、静止膜電位に戻る(再分極)
- 静止膜電位よりも低下することを過分極と言う
イオンチャネルの種類
Ca2+
膜電位依存性Ca2+チャネル
脱分極により開口し、細胞外から細胞内へCa2+を流入
体の部位や機能によって、L型・T型・N型などに分類される。
つづける君
- L型は、「Longlasting:長い開口時間」
- T型は、「Transient:一過性」
- N型は、「Non-L:L型ではない」または「Neuronal:神経細胞に発現」
Ca2+放出チャネル
- 細胞質内にある小胞体に存在する
- イノシトール三リン酸(IP3)の結合や、細胞内Ca2+濃度の変化により開口
- 小胞体から細胞質内にCa2+を放出
Na+
膜電位依存性Na+チャネル
- 脱分極により開口し、細胞外からNa+を流入させて活動電位を引き起こす
- 主に、神経や心筋・骨格筋などに存在する
アミロライド感受性Na+チャネル
- 細胞外液量や浸透圧の調整などの働きを担う
- アミロライド(K+保持性利尿薬)により開口が抑制される
- 腎集合菅や脳に存在する
Cl –
電位依存性Cl −チャネル
- 脱分極により開口し、細胞外からCl−を流入させ、再分極の形成や静止膜電位の安定に関わる。
- 主に、骨格筋や脳・腎臓に存在する
K+
膜電位依存性K+チャネル
- Giタンパク質共役型受容体から分離したβγサブユニットにより開口し、細胞外へK+を放出させか分極を引き起こす。
- 心筋に存在する
ATP依存性K+チャネル
- 細胞内ATP濃度低下により開口し、細胞外へK+を放出させ、過分極を引き起こす
- 血管平滑筋や膵臓β細胞に存在する
Gタンパク質制御型K+チャネル
- 脱分極により開口し、細胞外へK+を放出させて再分極相を形成する
- 主に心筋に分布する
つづける君
K+は、細胞内の方が濃度が高いため、チャネル開口より細胞外に放出されます。他のイオンは基本的に、細胞内に流入します。
イオンチャネル内蔵型受容体
つづける君
今度は、イオンチャネル内蔵型受容体について見てみましょう。
こはる🔰薬剤師
受容体にイオンチャネルが内蔵されているんですね。
つづける君
イオン内蔵型受容体の性質や特徴が、どのように分類されているか知っておけば、今後クスリの作用を勉強するときに把握しやすくなります。
イオンチャネル内蔵型受容体とは
- イオンチャネル内蔵型受容体とは、イオンチャネルと連動して機能している受容体
- 受容体にリガンドが結合すると、イオンチャンネルが開口する(閉口するものもある)
- 反応が早いため、神経伝達や筋収縮などに関与する
- イオンチャネル内蔵型は4〜5個のサブユニットからなり、花弁状に形成されている
カチオン(陽イオン)チャネル
ニコチン性アセチルコリン受容体(ニコチン受容体)
N N受容体
- Na+チャネルを内蔵する
- 神経節や副腎髄質に存在する
- 内因性リガンドは「アセチルコリン」
- 節後ニューロンの脱分極を引き起こす
N M受容体
- Na+チャネルを内蔵する
- 骨格筋に存在する
- 内因性リガンドは「アセチルコリン」
- 骨格筋の収縮に関与する
イオンチャネル型グルタミン酸受容体
N-メチル-D-アスパラギン(NMDA)受容体
- Ca2+・Na+・K+チャネルを内蔵する
- 中枢神経系に存在する
- 内因性リガンドは「グルタミン酸」
- 記憶・学習、神経回路の形成に関与する
non-NMDA受容体(AMPA受容体、カイニン酸受容体)
- Na+・K+チャネルを内蔵する
- 中枢神経系に存在する
- 内因性リガンドは「グルタミン酸」
- 中枢神経系における興奮性シナプス伝達に関与
セロトニン5-HT3受容体
- Na+・K+チャネルを内蔵する
- 腸管や化学受容器引き金帯(CTZ)に存在
- 内因性リガンドは「セロトニン」
- 興奮性シナプス伝達や嘔吐に関与
アニオン(陰イオン)チャネル
γ-アミノ酪酸GABA A受容体
- Cl−チャネルを内蔵する
- 中枢神経系、末梢神経系に存在する
- 内因性リガンドは「GABA」
- 中枢及び末梢神経系の抑制性シナプス伝達に関与
グリシン受容体
- Cl−チャネルを内蔵する
- 脳幹や脊髄に存在する
- 内因性リガンドは「グリシン」
- 脊髄における興奮性シナプス伝達の抑制に関与
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