今回は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)について解説して行きます。多くのクスリが、このGPCRを標的にして作られていますので、しっかり勉強して行きましょう。
難しそうですね。名前長いし。
GPCRの解説では、色々な用語が出てきますので、一つ一つゆっくり見ていきましょう。
Gタンパク質共役受容体(GPCR)とは
こはるさん。そもそもGPCRとは、何をするところなんでしょう。
・・・。さっぱり分かりません。
では、簡単に説明します。GPCRとは、体の色んなところにある受容体で、神経伝達物質(アドレナリンなど)やホルモンを受け取ることでGタンパク質が活性化します。活性化したGタンパク質が、特定の場所(効果器)から伝達物質を放出します。要は、GPCRはGタンパク質の活性化部屋みたいなところですね。
なるほど。体の色んなところでGタンパク質を元気にするために頑張ってるんですね。
現在、医薬品の半分ぐらいは、このGPCRを標的にしていると言われているぐらい、私たちの体の働きに大きく関係しているんです。
GPCRの構造
GPCRの構造ですが、
単量体で、N末端が細胞膜の外にあり、C末端が細胞の内側にあります。細胞膜を7回貫通しているという特徴がありますが、なんのために7回も貫通しているのでしょう。。
Gタンパク質とは
Gタンパク質とは、
GTPase活性を持っていて、グアニンヌクレオチド結合タンパク質です。
さっぱり分かりません。
でしょうね。GTPase活性とは、GTP(グアノシン三リン酸)を加水分解という方法でGDP(グアノシンニリン酸)とPi(リン酸)に分けることです。次の反応機序で詳しく説明しますが、Gタンパク質は活性していない時はGDPを持っているますが、リン酸をもらい、GDPからGTPに変わることで活性状態になります。そのGTPを自分でGDPに戻しすことができます。
自分で自分を落ち着かせることが出来るのか。。なんて賢い。ところで、グアニンヌクレオチドってGDPのことですか?
グアニンヌクレオチドを簡単にいうと、グアニン(G)とリン酸を持ったものです。リン酸の数でGMP・GDP・GTPと変わります。リン酸を持っている数がモノ(M)・ダブル(D)・トリプル(T)ですね。
Gタンパク質は、GDPを持ってどんな形をしてるんでしょうか。
Gタンパク質は3つのサブユニット(α・β・γ)から出来ています。GDPを持っているのがαサブユニット、βサブユニットとγサブユニットはくっ付いて離れません。β・γはαサブユニットの格納庫的な役割です。
GPCRの反応機序
では、GPCRで起こっていることを見て行きましょう。Gタンパク質の活躍にも期待ですね。
- GPCRにリガンドが結合する
- Gタンパク質がGPCRに結合する
- αサブユニットに結合していたGDPが、GTPへと置き換わり活性型αサブユニットになる。
- Gタンパク質はGPCRと解離して、活性型αサブユニットが切り離される
- それぞれのサブユニットが効果器(酵素やイオンチャネル)に作用する
- 細胞内情報伝達が起こる
- 活性型αサブユニットは、自分のGTPase活性によりリン酸を切り離す
- リン酸を切り離すとGTPからGDPに戻り効果器から解離する。
- αサブユニットは再びβγサブユニットと結合し、不活化Gタンパク質に戻る
この反応が、身体中で起きてるんですね。
身体の場所によって、Gタンパク質の種類も変わってきますので、次には代表的なGタンパク質を見てきましょう。
GPCRの分類
では、GPCRの分類を見て行きます。基本的な反応は同じですが、αサブユニットの違いで分類が決まってきます。
覚えられるか不安です。。
人のGPCRは約800種類ぐらいあるそうです。
オワタ。。
全部覚える必要ないですよ。代表的なところだけしっかり抑えて行きましょう。
Gsタンパク質共役型受容体
作用機序
- リガンドがGPCRに結合すると、αサブユニットがアデニル酸シクラーゼ(AC)を活性化する。
- 活性化したACは、アデノシン三リン酸(ATP)からサイクリックアデノシン一リン酸(cAMP)の生成を促進する。
- cAMPは、プロテインキナーゼ(PKA)を活性化する。
- PKAは、標的タンパク質をリン酸化する。
- リン酸化されたタンパク質はシグナル伝達を介して生理作用をもたらす。
アデニル酸シクラーぜを元気にしたら、cAMPが増えてくれて、cAMPがたくさんあったら、ナンダカンダあって生体反応が起こるってわけね。
受容体例
- アドレナリンβ1〜β3受容体
- セロトニンと5-HT4受容体
- ヒスタミンH2受容体
- ドパミンD1受容体
Giタンパク質共役型受容体
作用機序
- リガンドがGPCRに結合すると、αサブユニットがアデニル酸シクラーゼ(AC)を不活性化する。
- 不活性化したACは、アデノシン三リン酸(ATP)からサイクリックアデノシン一リン酸(cAMP)の生成を抑制する。
Giタンパク質共役受容体は、Gsの抑制バージョンってことですね。
そうです。
ちなみにGsのsは「stimulators(刺激・促進する)」で、Giのiは「inhibitory(抑制する)」に由来しているそうです。
受容体例
- アドレナリンα2受容体
- ムスカリンM2受容体
- セロトニン5-HT1受容体
- ドパミンD2受容体
- オピオイド受容体
Gqタンパク質共役型受容体
作用機序
- リガンドがGPCRに結合すると、αサブユニットがホスホリパーゼC(PLC)を活性化する。
- 活性化したPLCが、細胞膜のホスファチジルイノシトール4,5-ニリン酸(PIP2)がイノシトール-1,4,5-三リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DG)に分解される。
イノシトール-1,4,5-三リン酸(IP3)の作用機序
- 小胞体上のIP3受容体に結合する。
- イオンチャネルが開口して、細胞内へのCaイオンが遊離促進する。
- 細胞内のCaイオン濃度が上昇することで、カルモジュリン依存性プロテインキナーゼ(CaMK)が活性化する。
- 活性化CaMKは標的タンパク質をリン酸化する。
- リン酸化されたタンパク質はシグナル伝達を介して生理作用をもたらす。
ジアシルグリセロール(DG)の作用機序
- DGは、プロテインキナーゼC(PKC)を活性化する。
- 活性化PKCは標的タンパク質をリン酸化する。
- リン酸化されたタンパク質あシグナル伝達を介して生理作用をもたらす。
パニックです。
Gqタンパク質からは、PLCを活性化してIP3とDGができる。そしてナンダカンダで生理作用起こす。これぐらいで最初は大丈夫でしょう。
受容体例
- アドレナリンα1受容体
- ムスカリンM1受容体
- ムスカリンM3受容体
- ヒスタミンH1受容体
- アンジオテンシンII AT1受容体
終わりに
少し内容が難しかったですかね。
少しずつですが覚えて行きます。
ぜひ、流れをイメージしながら覚えていってください。クスリのほとんどが、このGタンパク質共役型受容体を標的分子として作られます。ここの仕組みが分かれば、クスリの作用について覚えるも楽になりますので頑張りましょう。
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